理系の学生ですと、大学4年生の4月から研究室生活が始まる人が多いと思います。
授業にだけ出ればよかった今までの生活と大きく変わり、様々な悩みや疑問も出てくることでしょう。
- 卒論っていつから始めればいいの?
- どのくらい書けばいいの?
- 実験レポートとの違いは?
- みんな白衣着てるの?
結論としては、研究内容と教授によって大変さは全く異なります。
不夜城と呼ばれた研究室で、寿命を削りながら論文を書いている友達もいれば、
全12ページで書き終えた友達もいました。笑
もうすでに研究室配属を済ませた方は、そこで頑張るしかないですが
これから配属になる大学1~3年生は是非この記事を参考にしてください!
ちなみに私の簡単なプロフィールは以下の通りです。
- 国立理系修士卒
- 専攻は電気電子、研究内容は半導体
- 現在大手メーカー勤務
実体験も踏まえながらお話していこうと思います。
理系の卒論ってどんなもの?
まず、文系と理系の卒論では大きく異なる点が1つあります。
それは文字数の下限が設定されているか否かです。
文系学部でもゼミによるとは思いますが、私の通っていた大学では卒論は「2万字以上」というのが多かったように思います。
一方で理系学部には、文字数が設定されていません。
それはデータや写真、グラフ、数式などを用いるため、文字数をカウントしても意味がないからです。
一部の文系の人たちは卒論の文字数でマウントを取り合うというのを耳にしたことがあります。
それを聞くたびに
理系でよかった~
って何度も思いました。笑
テーマはほとんど先輩の引継ぎ
重要な卒論のテーマですが、これはほとんど前年度に卒業していった先輩方の研究を引き継ぐことになります。ここで変にやる気を見せると新しい研究にチャレンジさせられることもあるので要注意です。
ですが、それぞれの研究にメリット・デメリットがあります。
先輩の研究を引き継ぐ
メリット
- 実験方法や研究の流れを細かく教えてもらえるので、とっかかりやすい
- 過去の論文を参考にできる
デメリット
- 前任者の研究内容を早急にキャッチアップしなければいけない
- 過去の結果より良いか悪いかが評価基準となってしまう
新しい研究にチャレンジする
メリット
- 研究計画をある程度自由に決められる
- 一から築き上げるやりがいを感じることができる
デメリット
- 自由であるが故に、自分で行動しないと何も始まらない
- 1年間で成果が出ないこともある
どちらのほうが良い、とは言えませんが
「指示されたことはきっちりこなす」タイプであれば、先輩の引継ぎ
「自分で進んで行動して思うようにやりたい」タイプであれば、新しい研究にチャレンジするのもいいかもしれません。
ちなみに私は、先輩の研究を引き継ぎましたが、人から指示されるのは嫌いだったので
実験手順や評価方法を勝手に変えて研究をしていました!
実際の研究って何をするの?
研究自体は大きく3つの種類があり
- 実験系
- 理論系
- シミュレーション系
に分類されます。
どの研究にも共通しているのは
学生は教授の奴隷
という点です。
ここはしっかり覚えておいてください。笑
実験系
工学系であれば機械を操作してデータを集めたり、実際にモノを作ったり
生物化学系であれば、よくイメージされる「白衣を着てフラスコを振る」ようなことをしています。
実験系の特徴としては、器具や装置を使わなければ研究ができないので物理的な制限が多いです。
例えばひとりが装置を独占することはできないので、個人ではなくチームで実験を行ったり、
「9時から17時は研究室にいなきゃいけない」といったコアタイムを設定している研究室があります。
また、外部の研究機関や企業に出張して実験装置を借りたり、一緒に研究することも多いので
新しい環境に適応するタフさが必要になってきます。
このような理由から、ひとによっては「きつい」と感じるかもしれません。
ですが、数千万する装置を動かす経験は他では味わえません。
何より「自らの手で”何か”を作りだす」ことは、やりがいや楽しさを感じやすいです。
私も実験系の研究をしていましたが、コアタイムはなかったので
装置の予約さえすれば自由に楽しく研究ができていました!
ただ、実験に失敗すると家に帰れないことも・・・
理論系
実験系と対極的な特徴を持つのが「理論系」です。
数学や理論物理を研究している研究室に多いのですが、
新たな定理の提唱や、既存の理論の見直しを行っています。
理論系の特徴は、「紙とペンがあればどこでもできる」という点です。
高校数学の授業で、模範解答よりも簡単な解法はないか探した経験がある人であれば
それのハイパーレベルの高いことをやっていると思っていただければイメージしやすいと思います。
「そんなことして何が楽しいの?」
と思う方もいるかもしれませんが、私にもわかりません。笑
ただ、在籍している学生から教授まで
全員がものすごい集中力と変態的な頭脳を持っていることは確かです。
そのせいかわかりませんが、理論系の研究室は自分ひとりで没頭できる環境があり
定期的なミーティング以外であれば、比較的自由に過ごせると思います。
朝起きてから寝るまで数式とにらめっこする熱意がある方におすすめです!
シミュレーション系
シミュレーション系は「実験系」と「理論系」の中間に位置します。
研究室によって異なりますが、実験系に近いところであれば
物理現象をコンピュータの演算能力を使って導き出し、文献にある実験結果との比較を行います。
理論系に近いところであれば
自らモデルを構築し、コードを書いて計算を走らせます。
どちらをやるにしても、PCとずっと向き合うことになるので
集中力がなかったり、じっとしてられない人には不向きかもしれません。
ですがPCさえあればどこでも研究ができるので、在宅には向いています。
「実験系」と「理論系」のいいとこどりをしたスタイルと言ってもいいかもしれません!
卒論と実験レポートとの違いは?
「実験レポートは授業でも書いたよ!」
「卒論はレポートと違うの?」
研究室に配属された人全員が抱く疑問かもしれません。
結論から言うと、基本的なスタイルは変わりません。
ただ、圧倒的に「質」が違います。
同じ研究に1年も費やすので、当たり前と言えば当たり前ですが笑
実験レポートであれば手順通りに実験を行い、得られた実験結果をどのようにまとめるか
が単位取得のために重視するポイントだと思います。
しかし卒論ではそれ以上に重要なポイントがあります。
それは序論と研究方法です。
序論では
「どんな背景、社会的な問題があるのか」
「この研究はそれらに対してどんな影響を与えるのか」
をはっきりさせなければいけません。
研究方法では
「手順はすべて正しく行われているのか」
「評価方法は正しいか」
これらすべてに根拠を添えて執筆しなければなりません。
アカデミックな場ではどれだけ優れた実験結果が出ても
研究の新規性・優位性・再現性がなければ評価してもらえません。
これから研究を始める学生の方には実験結果を追い求めるよりも
自分が研究を行う理由や、使用する装置の原理、計算方法への理解を深めるところから始めましょう!
卒論と修論の違いについて
先ほど卒論とレポートの違いを説明しましたが、
修士論文についても卒論と基本は変わりません。
卒論時のテーマをそのまま引き継いでいる人であれば研究のスタンスは変わらないので
異なる点としては「結果の質」です。
修士になれば外部組織との共同研究を行うことも多く、大学の設備だけでは足りなかった
研究ができるようになるので、必然的に扱う結果も多くなります。
修論の大変なところは、その莫大な研究結果をまとめてわかりやすく説明することです。
卒論では得られた研究結果をそれぞれの「点」としてまとめていましたが、
修論ではその「点」をきれいに繋いでひとつの「線」にするイメージです。
修士学生の能力は、結果の要点を端的に抽出して、どれだけわかりやすく文章に落とし込めるか
と言っても過言ではありません。
もし修士に進みたいと思っている学生がいたら、参考にしてみてください。
まとめ
いかがだったでしょうか
結局のところ、研究のタイプやその研究に対する研究室のスタンスですべては決まります。
いずれにしても好きではないと苦痛でしかないので、自分が本当に興味のある研究を選んで
それを卒論にしましょう!
その記事が皆さんのお役に立てればうれしいです。
以上、ふみえもんでした!
コメント